白黒先生-二重人格彼氏-

「わっちょっ…何すんですか!? 変態男ぉっ」

あたしの抵抗はむなしく、先生にズルズルと引きずられて行った。


「…追いかけなくていいの? 瑛」

「はっ!? 何で俺が…あいつなんか…~ったく、何言ってんだ唯」

「…あっそう」


「…ここまで来れば大丈夫でしょう」

「………っ…」

あたしは息切れしながら、その場にしゃがみこむ。

引きずられたまま、学校の隅っこの体育館裏まで来てしまった。


「随分、疲れているみたいですね」

「だっ…誰のせいだと思ってんですかっ」

下から、爽やかに笑っている先生を睨む。

すると、その爽やかな笑顔は0.05秒で消え失せ、不機嫌そうな怖い顔になった。

まったく、なんて早業だ。


「しゃーねーだろ? …なんか、女子がいっぱい集まって来て…ったくお前も、助けてくれてもいいのに無視はねーだろ無視は」

なんであたしがアナタを助けなきゃいけない。

それに、アンタがこんなことしたせいで、女子の方々から嫉妬と羨みを込めた目で見られてしまったじゃないか。

あの視線は痛かった。

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