白黒先生-二重人格彼氏-

「ただいまー唯!」

「あ、おかえり沙耶! 急に神谷先生とどっか行っちゃうからさ、ビックリしたわ…何言われたの?」

「えーと…ちょっと生活指導…」

教室に入ると、不審そうな顔をした唯が待っていた。

あたしは苦笑いで交わす。

勘がいい唯は、納得のいかない顔をしながらも「ふぅん」と呟いていた。


「お、沙耶…お前、何か言われたのか? 大和に」

自分の席に着くと、隣の席に座っていた瑛が声をかけてくる。

「んー、特に何も?」

「…そうだよな、大和だしな」

妙な納得のしかたをした瑛。

ちょっとおかしいなと思いながらも、あたしは大して気にしなかった。


ていうか…「お前を好きにさせる」なんて言われたこと、言えるわけがない!!

自意識過剰か嘘つき、それか信じてもらえないかのどれかで片づけられるだろう。

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