LAST-LIFE
「たとえ妻でも知る必要の無いことがある。」

勘蔵は目を逸らしながら続ける。

「それでも知ろうとするならば私はお香さんに…出ていってもらわなければならない。」

勘蔵が言いおわると、香は立ち上がって勘蔵と反対の方向を向いた。

「出過ぎた口でした・・・でも・・・貴方を知りたいのです。」

勘蔵を振り返る香。
頬に一筋涙が光った。
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