悪魔の囁き
「だって・・・、ねえ一緒に旅行に行こうよ。お金は全部だすから」

「ふざけんな」

俺は電話をきる。
その後も何十回と電話がなる。
公衆電話からもなる。
着信表示がされないから、電話にでると思ったのではないか・・

俺はノイローゼー気味になり、夜も人の気配を気にして歩くようになった。


それから数日、スナックのママから呼び出される。

スナックには百合、その横には知らない男がいた。
「まあ、兄さんそこ座れや」

ヤクザ風の男は俺に指示をする。

「お前、俺の女に手だしたか?」

「・・・」

「ち、違うの。あたしが悪いの・・」

百合は俺をかばう。

・・が、ばらしてしまったようなものだ。

「お前はだまっとれ。やったんだな!」

男はすごむ。

俺は黙ってうなづいた。

「よし、分かった。指落とせなんていわんわ。慰謝料はらえや」

「・・・」

「分かりました。まず、警察よびましょう。」

俺が口を開く。
冷静な俺のその言葉にきれた男は俺に殴りかかってくる。

「なめてんのか!てめーは!」

武道をしていた俺は、体を後ろに引き、相手のパンチを吸収する余裕があったが、場所が狭く口から血がでた。
口を押さえ俺は言う。

「あんた、馬鹿でしょ?手だしたら慰謝料請求どころじゃなくなるよ?」

男は俺の顔に唾をはき、ドンと突き飛ばした。

「ちっ、ムカつくタイプだな、お前は」

男は店を出て行く。

百合は俺をチラッと見た。

「百合・・・、お前最低だな」

俺も店をでる。


そしてこの一件は幕を閉じたかに見えた。

・・が、
徐々に俺の体調がおかしくなる。

肌がカサツキ、熱がで、体が重く息苦しい
あそこに膿、と発疹、
リンパ節が腫れ、下痢、発熱、体重の減少・・

俺はスナックで
“やめとけ”
と言った男の言葉を思いだした。

百合の犠牲者は俺だけではなくそいつもだったのだ。

そしてママも。

この街には百合と絡んだ奴らが多くいる。

男も女も・・・
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