聖花学園~花よ咲き誇れ~
「いたっ……あ、そこ…いいです」


 寿先輩、自分で言うだけあってホントにマッサージ上手い……。


「あっ……もうちょっと右に……んっ…はい、そこです」


 突然、マッサージの手が止まった。

「……寿先輩?」


 不思議に思って振り返ろうとすると、頭を掴まれて戻された。

「振り返らないで下さい……」

 何だか切羽詰ったような声。


 どうしたの?


 不思議に思うわたしを他所に、寿先輩は一人でソワソワしはじめる。

「ええっと……すみません。急用を思い出したので、これで失礼します」

「え? あ、はい……」


 背後で立ち上がる気配がしたので、見送りに振り返ろうとしたら、今度は叫ばれた。

「振り返らないで!」

「は、はい!?」


 え? 何? 本当にどうしたの?




< 149 / 380 >

この作品をシェア

pagetop