聖花学園~花よ咲き誇れ~
 でも、その手を取ることなくわたしは寮から出ることになる。


 寿先輩に伸ばした方とは逆の手をいきなり流依に掴まれ、引かれたからだ。


「わっ!? 流依?」

 突然何をするのかと非難を込めた声で言うが、流依は悪びれも無く「行くぞ」と言ったのみだった。




 もう、どうしたって言うのよ……。



 納得出来ず不満ではあったけれど、流依の手を振り払う気にもなれなかったので、わたしはそのまま駅まで流依と手を繋いで歩いた。



 さすがに駅まで来ると人の目があって恥ずかしいので、放してもらう。


 だって、ただでさえ人が多いのに美形が五人もそろっているなんて注目の的だ。



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