聖花学園~花よ咲き誇れ~
 ここに由宇花さんがいなくて良かったな、と思いつつわたしは笑った。


 だって、由宇花さんがいたら絶対にまた『姐御』って言った優姫先輩を殴っちゃうもの。



「じゃあ急ごうぜ! ぜってーオゴらせてやる」

 わたしの思いも知らずに、優姫先輩は率先して寮から出て行った。



 なんだかいつもよりはしゃいでいるみたい。

 優姫先輩も楽しみにしてたのかな? やっぱり。



「では行きましょうか、小都子さん」

 そう言って、寿先輩が手を差し伸べてきた。


「あ、はい」

 わたしは何となく反射的に、寿先輩の手を取ろうとした。


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