無色の日の残像
 窓の外の雨はますます激しくなり、硝子を雨粒が叩いている。

「驚かないんですね、雨鳥さん」

 カウンターの中の雨鳥に、無色は声をかけた。

「ん?」
「わたしのこと」

「いやいや驚いたよ? 突然やってくるんだから」

「そうじゃなくて」

 無色は、タオルで拭き終わった長い髪の毛を撫でた。

「ん?」

「いや、雨鳥さん、ひょっとしてわたしが女の子だってこと、知っていました?」

 あっはっは、とカウンターの中から雨鳥は笑った。
「そりゃあね、見てればわかるよ」

 無色は驚いた。
「わたし、男の子だと思われてると思ってました」

「まあ三年前は確かに、見た目少年だったな。髪、伸ばしたんだね。スカートもよく似合ってるよ」
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