無色の日の残像
「ああ、入ってこないように、ね。ハイハイ、ちょうど今日はお客なんて一人も来なかったしねえ」

 マスターはドアを開けて入り口に掛かった札を『closed』に変えた。

 しゃらんしゃらん、と貝殻の音がする。

「ラッキー、早めの店じまいっと♪」
 商売気の欠片もない科白を吐いて、「じゃなかった、貸し切りが三名様っと」と言い直し、彼らを振り返った。

「どうぞ、お好きな席に」
「・・・・・・ご協力に感謝します」

 やや呆気にとられた様子で新見少年がそう言って、三人は窓際の席に座った。

「──で?」と、新見少年はクウとウミに尋ねた。
「西側の学生だという主張だけど、きみたち、身分を証明するものはあるの?」

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