無色の日の残像
 クウが不機嫌な顔で叩きつけるように、一方ウミは怯えた顔でそうっと、学生証をテーブルの上に置いた。

「ふうん、二人とも高校二年生ね。僕と同い年だな」

 軍服の少年少尉はそう呟いて、それからウミの視線が椅子に立て掛けられた軍用ライフルに釘付けになっていることに気がついた。

「ああ、心配しなくても、この状況で使ったりしないよ」

 その言葉に、ウミが少しだけ安堵の色を浮かべて──

「室内ならこっちの拳銃か──この近距離ならナイフを使うから」

 新見少年が身につけている銃とナイフを見て、再び青くなった。

「ええとそれできみ──こっちの美人な女の子のほうが、アオシマ──ハネカイ?」

「ウミ」

 消えそうな声で彼女がそう答えた。

「蒼嶋羽海、ね。ふうん、良い名前。で、もう一人の──性格悪そうなきみは、蒼嶋──ソラキ?」

「じゃねえよ、クウキだクウキ。そのまま読めや」

「蒼嶋空気、か。変な名前」

 その言葉でクウ──空気はついにキレた。

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