無色の日の残像
「えっ」

 羽海が泣きそうな表情を浮かべ、空気がごくりと喉を鳴らした。

「ど、どうなるんだ? 俺たち」

「ニイミ・ムイロだ」
「へ?」
「僕の名前」

 少年は不機嫌に言った。

「ムイロ?」
「無色透明の無色って書いて、ムイロ」

 少年は首から下げたカードをひっくり返して二人に見せた。

 軍の身分証だろうか。
 新見無色、という名前が書かれている。

「む、無色くん?」
「そう、よろしく」

 首を傾げて聞き返す羽海に向かって、無色という名の少年は無愛想にそう言った。
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