無色の日の残像
 拘束。
 それは何日くらいなのだろうか。

 修学旅行が終わる前に戻らなければ、嘘がばれて家でも学校でも大騒ぎになる。
 それ以前に、果たして自分たちは無事に西側へ帰してもらえるのだろうか。

 ようやく、気楽で甘い計画を実行してしまったと思い知らされた。

「若者が、そんな深刻な顔するなって」
 そんな二人に、軽い調子でマスターが声をかけ、クリームがたっぷり乗ったパフェを二つ、どん、と二人の前に置いた。

「はいコレ、軍のおごりだよ」
 自分のおごり、とは言わない辺りがちゃっかりしている。

「食え食え」

 そうは言われても、空気と羽海には一向に食欲など涌いてこない。

 やがて三十分は経過したかという頃。

 しゃらんしゃらん。
 涼しげな音と一緒に、軍服の少年が戻ってきた。

 彼の青白い顔が、心なしかますます青ざめているように見える。

 彼は二人の前に座ると、重たい息を吐き出した。
「クソ、大変なことになった──」
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