無色の日の残像
「だから見りゃあわかるって。整備士なめたらいかんよ? あの焼け焦げの痕は、輝神にやられたとしか思えねえだろ」

 なかなかコックピットから降りられない羽海を手伝っている軍服の少年を見つめて、おじさんは目を細めた。

「相変わらずとんでもねえ腕してやがるな、あのガキンチョ。他には傷一つつけずにプロペラだけ壊したか。今の東で、輝神をそこまで操れるのはあいつくらいのもんだ」

 おじさんは親指をぐっと立てて、輝神の四枚羽を示した。

「あの可動式の四翼でな、輝神は空中での完全停止、高度姿勢制御や急加速急停止を可能にした軍の最新型なんだ」
「へえ・・・・・・」
「全方位射撃ができる輝神は、戦闘機としての空中戦はもちろん、*ガンシップみてえに局地戦にも使える汎用攻撃機なんだが──」
「はあ・・・・・・?」

 ええと、戦闘機とガンシップってどう違うんだ?
 熱く語り出したおじさんの言葉に、空気はついていけなくなってきた。
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