無色の日の残像
エレベーターから出ると、海風に頬を撫でられた。
潮の香りが鼻を突く。
病院の後ろは断崖絶壁になっているようで、西日に照らされた金色の海が見えた。
その海を、車椅子に座って、一人の少女が見つめている。
だだっ広いコンクリートの屋上にはその少女一人で、他に人影はない。
どうやら彼女が、無色のお見舞いの相手のようだ。
「何だよ、恋人か?」
少女のもとへと歩いていきながら、空気は無色の背中に声をかけた。
少女までは距離があって、顔はまだよくわからないが、潮風に長い髪の毛が舞っているのが見えた。
「花束持ってきて正解だったな、おい」
そんな風にからかう空気に、無色は振り向きもせず「そんなんじゃない」と不機嫌に答えた。
潮の香りが鼻を突く。
病院の後ろは断崖絶壁になっているようで、西日に照らされた金色の海が見えた。
その海を、車椅子に座って、一人の少女が見つめている。
だだっ広いコンクリートの屋上にはその少女一人で、他に人影はない。
どうやら彼女が、無色のお見舞いの相手のようだ。
「何だよ、恋人か?」
少女のもとへと歩いていきながら、空気は無色の背中に声をかけた。
少女までは距離があって、顔はまだよくわからないが、潮風に長い髪の毛が舞っているのが見えた。
「花束持ってきて正解だったな、おい」
そんな風にからかう空気に、無色は振り向きもせず「そんなんじゃない」と不機嫌に答えた。