無色の日の残像
「俺がキミたちに部屋を提供した理由。キミが、彼らを助けようとしたからさ。キミはただの鋼鉄の塊じゃない、そうだろう?」

 微笑んでいる雨鳥を、無色は困惑気味の表情で見つめた。

「わかったのかい?」
「え?」
「自分がしていること」

 雨鳥は首を傾けた。

「今、しようとしていることもそうだよね」

 雨鳥は静かに微笑んでいる。

 無色は慌てて拳銃をしまった。
 それから、ハッとした。

 どうして自分は慌てる必要があったのだろう。拳銃を誰かにつきつけている状態を──嫌だと感じた・・・・・・?

 無色は混乱しながら、空気が去っていったほうを見て、それから雨鳥に視線を戻して、自分が着ている軍服を見下ろした。

 自分の中で何か、正体不明の変化が起きている気がした。
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