無色の日の残像
「あー楽しい」
 日がゆっくりと傾いてきた頃、透明が車椅子から手を伸ばして、砂に触れながら言った。

「自分がもうすぐ死ぬかもしれないってこと、忘れちゃうくらい」

 無色が、うん、と静かに頷いた。

 空気と羽海は、二人のクローンを見つめた。
 自分たちよりもずっと、彼女らは過酷な状況の中で生きているのだ。

「この砂浜、自分の足で歩けたらきっと気持ちいいんだろうな」

 透明は、愛おしそうに砂を撫でながら呟いた。

「いつか歩けるといいのに──」

「歩けるよっ」
 無色が大声を出した。

「透明は、絶対に歩けるようになるよっ」
 怒っているような──必死の表情で、無色はそんな風に叫んだ。

 空気が、透明の車椅子の前に背中を向けてしゃがみ込んだ。
「負ぶされよ」
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