Magician Song〜魔術師の唄〜
かたん、と小さな音をたて、床が外れたのだ。それを覗けば、奥には暗闇だけである。
その暗さが、床の深さを物語っていた。
「よし、使えるな。…リア、ここに入れ」
「…うん…。……って、え゙?」
父の言葉に思わず頷いてしまい、だがハッとしたリアは頬を引き攣らせた。
この人は、何を言っているのだろう。
この中に入れ?冗談じゃない。
こんなおっかないかつ、カビ臭そうな所に入りたいわけがない。
むしろ、願い下げだ。
「リア!早くしろ!」
入ろうとしないリアに、少しだけ声を荒げる父。
その声音には本気の焦りが見えていて、リアはごくっと息を呑む。
そして、嫌そうに眉を寄せながら、リアは穴の中に足を入れた。
「はしごがあるから、それに足をかけて速く降りろ。…大丈夫、そんなに深く作ってねーから」
それは、どういう意味だ。
心の中でそう呟き、リアははしごに足をかけ下に降りていく。
カンカンカンと、はしごを降りる音が床下に響いた。
だが、意外にもすぐに着いた地面に、リアはホッと息をつく。
そして、この次の指示をあおごうと顔を上げれば。
バンッ!!
「…見ぃーつぅーけた」
扉が壊されたらしき音と、嬉々とした声音。
それに、リアの肌がぞわりと粟立った。
