【 LOVERS 】
仕事が始まる前に
繭に電話していた。

こんなに緊張したのは
初めてかもしれない。

心臓はバクバクするし、
手には汗かくし・・・

『繭?稜だけど
今、大丈夫?
明日って繭何してる?』

何か自分の声が違う気がする。

「・・・朝から仕事だけど?」

『あぁ・・・そうだよね。
繭忙しいもんね・・』
今、明らかに落ちた。

「・・・でも夕方からなら大丈夫だよ。
時間はまだはっきりしないけど」


明日の約束をして携帯を切った後、

僕は、妙にテンションが
上がってその後の仕事が
楽しくて仕方がなかった。

トイレ掃除も言われなくても
自分からやってたし、

僕は単純なんだと思う。


あきらかに繭は僕に気を
つかってくれた。



その優しさが嬉しかった。



奈央さんの時と違うこの感覚は、

相手が違うそれだけだろうか?


< 35 / 143 >

この作品をシェア

pagetop