【 LOVERS 】
1ヶ月前、稜は俺に
店で働きたいと言った。
いつもの気まぐれだと
思ったし、稜には無理だと
わかっていたから・・・
俺はそれを断っていた。

こんなことならあの時
話をちゃんと
聞いてやればよかった。

ここのところ家に行っても
稜はほとんど居なくて、
情緒不安定だったのは
わかっていた・・・なのに、

お前その間・・・

何がお前をそうさせたの?

もう売りはやらないって
言ったろ?

稜の体にはキスマークと
傷がついていた。

その姿を見て涙が止まらない。


しばらくして
稜の震えが治まり、
俺の肩に息がかかる。

『叶夜・・・最後の
わがままだから・・・
家に・・・』

そのまま稜は意識を
失ってしまった。

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