【 LOVERS 】

必要な言葉

薄暗い中、ぼんやりと
奈央さんの顔が見える。

夢・・・?

何でそんな悲しそうな顔で
僕を見てるの・・・?

笑ってる?

『・・奈央さ・・ん?!』

「稜ちゃん♪お目覚め?(笑)」

そういうと彼女はベッドから
離れて部屋を見渡しながら

「いやぁ~稜ちゃんすごい
とこ住んでるねっ!
冷蔵庫、何も入ってないし、
何食べて生きてるの?!
家具なんてほとんどないじゃない。
テーブルはどこよ?イスは?」

『奈央さん何でここに?』
僕はベットから体を起こした。

奈央さんはこっちを見て
「あぁ~、なんかねっ。
変な人から電話がかかってきて、
何かの勧誘かと思ったら、
稜ちゃんの側にいてくれって、
最初はイタヅラかと思ったん
だけど稜ちゃんの携帯からだったし、
叶夜くん?だっけ?あの子いい子だねっ。
見た目チャラいけど(笑)」


叶夜のバカ・・・
何で奈央さん呼ぶわけ?!
見られたくなかったから
叶夜呼んだのに・・・


僕は電話をかける時に
誰を呼ぼうか迷った。

迷うといっても東京に
友達と呼べる人は
ほとんどいない・・・

あんまり仲良くない相手を
呼んでも詮索されるのも
説明するのもめんどくさいから


繭・・・
呼べるはずがない

奈央さん・・・
知られたくない

叶夜・・・

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