【 LOVERS 】
バカなのはオレか・・・
この子はそういう子なんだ。

オレに対して
いつも一生懸命だった。

あの遅刻して来た日も
ガラス越しで見てた。
走って来て、
店の前で服の袖で
汗を拭いてるのが可愛くて

・・・だから怒れなかった。

オレがクシャミした時だって
そうだった。
自分の方がずぶ濡れで・・・

イヤだといいながらオレの
要求には答えてくれてた。


『繭・・・?

あっ、あのね・・・
僕がイヤならこれ!』

とデスクの前にいき、
紙袋からオレの好きな
キャラの服を
取り出してオレに見せる。


この子をどうして
拒めるだろう・・・

オレは稜に近づいて
そっと稜を抱きしめると
稜の体が硬直してしまった。

オレは稜の耳元でそっと
教えてあげた。

「稜のバカ・・・
オレはキャラとしないから」

『・・・えっ?』


「オレは稜としたいよ・・・」

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