【 LOVERS 】
「稜、そうしてると
本当にここがバーみたいだね」

と繭がソファーに座って
僕に話かけてきた。

『うん、そのまま来ちゃった
からっ
繭専用だよっ(笑)』

僕は繭にすぐに会いたくて
黒シャツに黒パンツの
仕事着のまま部屋に来ていた。

部屋の中にある小さな
バーカウンターの中で
氷を砕いていた。

『繭、バーボンでいいの?』

「うん」

僕は緊張して
何かをしていたかった。

今までこんなに緊張した
ことあったけ?

あんなに繭に触れたかったのに
同じ空間にいるだけで
ドキドキしてしまい、
DVD見ながらお菓子食べて
酒飲んでる・・・

何やってるんだろう?

今までと変わらないじゃん。


同じことを考えてたのか繭が

「稜・・・朝までの時間を
売ってくれってこういうこと?」
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