あの男は私に嘘をつく
「恭子ぉ~、愛してるのはぁ~、
お前だけ~さぁ~」



ジュースをすすりながら、
脩二のアホな歌を聞き流す。
てか、曲入れずに、
何歌ってんだか。
ま、いつものことかっ。





……それにしても、あの笑みは
なんだったのか…。
やけに心に焼き付いて離れない。
たとえるなら…、
魔法にかかったよぉな……。


い、いやっ、魔法とか何ファンシーなこと
言ってんだろっ!!!
マジで自分変っっ!!!
調子狂うっつーの……。


私は一気にジュースを飲んだせいで、
ちょっとむせた。



「恭子ぉ???歌わねぇの??」



「てめぇがアホな歌歌ってっだろっ!!!」




「うっっ!!!!」





脩二の腹に一発入れて、私はカラオケを出た。
代金も脩二任せでいっか。
あいつ、あれでもおぼっちゃんだし。



私はいつもの道を通って、
行きつけの店に入った。
< 4 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop