あの男は私に嘘をつく
「修二……。」









「信じても……いいよね??」








修二の目が輝いて、また私を抱きしめる。





修二の言葉を信じられたのは、胸の鼓動をこんなに近くで聞いていたからかもしれない。なによりも確かで、無意識で愛を語ってくれているような気がしたから。





きっと修二なら何倍も愛をくれるでしょ??そっちのほうが幸せよ。私は勘違いしてたんだ。愛すだけで幸せだと思ってたけど……、違うね。裏切られたときのリスクを考えれば、愛されるほうが何倍も幸せだよ。修二を好きになれる。絶対に……。私には一番それが……幸せなんだ。












「恭子………。」













「もう、離さないよ。」


















「愛してる。」














初めて修二と交わしたキスは、しょっぱかった。でも、私の涙と修二の涙が混ざって、しょっぱさのなかに、少し甘さを感じたんだ。
< 71 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop