あの男は私に嘘をつく
ジリリリリリッ




目覚ましがけたたましくなり響き、いつの間にか寝ていた私は、今日から春休みだということに気がついた。
そして、またベッドにもぐり、もう一眠りしようとすると、






ピリリリッピリリリッ






無視しようと思ったが、急用だといけないし…。
私は重い身体を無理矢理起こして、受話器を上げた。






「…はい、橋本です。」








「橋本さんのお宅でしょうか??私、担任の島林といいますが、恭子さんはご在宅でしょうか??」









「……私ですが??」






ハゲ担任島林は声色を急に変えて、そっけない態度になった。
なんなんだよ、こいつ…。






「なんだ、橋本か。お前、数学だけ点数ヤバかっただろう。他のはギリギリ大丈夫なんだが、数学だけはまずいから、今日から学校で補習だから。」






「はぁ??嫌だし、そんなの!!!!」






「来年から受験生だろ??弱点はな、今克服しておくほうがいいんだ。分かったら、今日から来いよ!!!」






がちゃんっ






乱暴に置いた受話器は、揺れ動き、不安定だった。
なんで私が補習なんてっ!!!!でも、確かに来年は受験生……。
考えた結果、仕方なく行くことにした。
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