私があなたであなたが私!?




なんだか変な気分になったけれど、だんだんそれも収まってきて、私は大好きなエビを焼く事にした。








「よし、じゃあ家帰ろうか」



薫さんがそう言って店の鍵を締めた。



全部片付けたり、電気も消したりしてると終わったのはもう11時ぐらい。



「紀世さんが居たらもう少し早く終われるんだけどね。この店の二階で住んでるから」



片付けながらそう言う薫さんの話を聞いて、今日は紀世さんは帰ってないんだ、と思った。



そう言えば泊まりがけでいつも行くんだって言ってたっけ。



それにしても恐らくこんなに掛かったのは紀世さんがいないだけじゃない気が……。



片付ける時までぐだぐだだったし、薫さんに迷惑かけてばかりだったもんなぁ。



笑って「大丈夫大丈夫」っていつも言ってくれてたけど、ほんとはうんざりしてるよね。



ちらっと隣を歩く薫さんを見た。静まり返った商店街は暗くて、薫さんの顔もよく見えない。
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