海の上で、輝くアナタ。


「麗華?」


ルイカンドさんは心配するように、私の顔を覗いた。
一気に顔が熱くなる。
きっと、それは。ルイカンドさんが凄く美形だから見とれてしまったのでしょう。
そう思い込んでしまった。


「なんですか?」


ニコッと私は笑顔を見せた。
その笑顔に、ルイカンドさんはムッと眉をひそめた。


「何か不満なことがあるのか?」


理解できなかった。
ナニガですか?私は、笑っていますよ??


「何もないですよ?」


そういうと、さらに、眉間に皺を寄せる。
どうして、そんなことを聞くのですか??

どうして、どうして、どうして・・・


「そうか、服が気に入らなかったら言えばいい。お前に合ったのを俺が選んでお前に買ってやる」


アナタは、俯く私をみ、フッと微笑み頭を撫でた。
『お前に合ったのを俺が選んでお前に買ってやる』
本当ですか?
ルイカンドさんが、私のために選んで、私のために買ってくださるのですか?

一気に心が温かくなる。

一気に、嬉しさで満たされる。


「ありがとうございますっ」


嬉しくて涙が出る。


嬉しくて、顔が緩む。


嬉しくて、自然に笑みがこぼれる。


嬉しくて、嬉しくて、


たったそれだけが、こんなにも嬉しいのは、初めてだ。



グイッと引っ張られる、腕。
そのまま私は、ルイカンドさんにキスをされる。

そう、唇に。

あの女の人とは違う。
アナタからされるキス。


それは最初とは違う。
すごく嬉しい出来事だった。


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