10年彼女
あれからどれほど経っただろう…

奈流は一勝もできずにいじけている。

「電話するっ!」

またかよ。

「俺するよ。」

順が携帯を取り出した。

4人で撮ったプリクラと李梨と2人のプリクラが1枚ずつ貼ってある、黒い携帯。

―プルルル…ガチャ―

「あ、李梨?」

しかし、そこに李梨の声は無かった。

「ご友人の方ですか?
すぐ矢吹病院に来ていただけますか?」

「は…?」

聞こえるのは40代半ばの男性の声だけ…

なにやら説明を受けてる様子の順。

順の近くにいる奈流も聞こえてるみたいだけど、

離れてる俺は内容が聞き取れない。

…行った方が良いのか?

俺は放心状態の2人を引っ張って部屋を出た。
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