10年彼女
翌日の朝。

夜遅かったため、李梨の家に泊めてもらっていた。

あの後、直樹さん達も病院に来て、一緒に帰った。

食事中、誰も口を開こうとしなかった。

料理上手の那菜さんの作った朝食の味は覚えていない。

食事後、俺達が帰り支度をしていると直樹さんが部屋にきた。

「李梨は、君達に出会えて幸せだった。
君達はもう家族のような存在なんだ。
いつでも帰っておいで。」

奈流の目から止めどなく涙が溢れる。

俺は左手を奈流の頭に置く。

「順は、話があるから少し残って?」

直樹さんがそう言ったので、奈流と2人で帰った。

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