10年彼女
俺達3人はただ立ち尽くしていた。

“ 絶句 ”それが相応の言葉だろう。

「…直樹さん達に連絡は?」

しばしの沈黙を破ったのは順だった。

たしか、大事な食事会があるって言ってたな…

「李…梨?ホントに、帰って…来ないの?
いやだよっ!行かないでっ!!」

俺の頬を温かい雫が伝った。

手で触れてみる。

…涙?

何年ぶりだろう。泣いたのなんて。

順は泣かなかった。

ただ、虚ろな目で、遠くを見つめていた。
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