首筋にナイフ


「イチカに近づかないで」


「……は? よく意味が分からないんだけど」


「だから、私のイチカに近づかないでくれる?」


イチカさんがいなくなった瞬間、小早川さんはオレの胸ぐらをつかみ、えぐるような目つきで、にらみながら脅して来た。


私のイチカ……ちょっと、というか思いっきり引っかかるけど、聞くわけにはいかないよな。


「それは……」


「いいから。アタシの言う通りにしなさいよ。そうしなかったら、痛い目見るわよ。この先アタシとイチカに関わっても悪いことしか起きないから。だから、大会も見に来ないで。風邪ひいたとか適当なことを言えばいいでしょ?」





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