首筋にナイフ


この人は、一体全体何を言っているのだろうか。


「…………そんなこと、出来ない」


少し間を置いて、オレは答えた。


「何故」


「行くって約束したんだ。彼女、嬉しそうだった。もしかしたらオレの勘違いなのかもしれないけど。少なくともオレはあったかい気持ちになった。アンタだって、イチカさんの親友なんだったら、わざわざそんなことする必要なんかないだろ?」


オレがそう言うと、小早川さんは胸ぐらをつかむのをやめた。





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