mixed Emotion

水を得たポインセチア

「そんなに見張らなくても大丈夫だって」

今日も私は美玖の家へ来ていた。

あまり監視していると思われないように、「美玖の家の大きいテレビでDVD見たい」とか、「今日は親と喧嘩したから家に帰りたくない」とか、適当な理由を付けて美玖の家へお邪魔していたが、バレバレだったようだ。

「ほんとはさ、感謝してるんだよ、ゆりにも理香ちゃんにも」


美玖は漫画を読みながら、顔を上げずに言った。

「大樹が暴力ふるってくるのって結構前からでさ、別れようって何回も思ったりしたんだけど、その後めちゃめちゃ優しくなるし、すごい反省してるから会っちゃうんだよね」


結構前からっていつからだろう。

私はやっぱり話してくれなかった事に、話そうと思ってもらえなかった自分の不甲斐なさに、苛立ちを感じていた。


「別れられそう?」


私は期待せずに美玖に尋ねた。

「うーん、微妙。」

だけど今は頼りにしてくれているのが分かるから、今なら美玖の事がすごく大切だと実感できるから

精一杯の事をしよう。
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