アザレアの花束を
それからは
誰に教えられたのでもないのに
自分の力で飛んでいた。
そして、実感する。
俺は、
吸血鬼。
あの冷めた男と同じ生き物。
「できるじゃないか」
あの男は嘲笑うように言った。
その仕草が鼻についた。
男と俺は闇をさ迷いながら、ある洋館に辿り着いた。
男がそこで降りたので、
俺も続いて降りた。
男は何も言わずにその洋館のドアを開ける。
俺はその様子を黙って見ていた。
ギイッと重たい音を出してドアが開くと男は中に入っていく。
それに俺も続く。
「あら。見ない顔じゃない」