アザレアの花束を
『何をしているんだ!』
――冷めていて、感情を見せない男だと思っていた玲さん。
だけど、いつだって俺を真剣に見てくれていた。
だから、俺のしようとしていることに反対しているのも、俺のことを想ってだとわかるんだ。
『立派になりなさい』
――いつも遊び半分、それでいて知らなくてもいいことを知りすぎている海さん。
きっと、彼女は何かを抱えている。
それをわかっていても、俺はどうすることもできなかったよ。
ごめんなさい。
いつか海さんの何かを取り除ける者が現れることを祈っています。
『私の名前は、愛よ』
――愛。
いつか、彼女に訊いたことがある。
“愛”の名前の由来を。
すると、彼女はおどけて言った。
『誰からも愛される、愛に恵まれた子になりますようにって。
ありきたりでしょう? 親なら誰だってそう思うじゃない』