アザレアの花束を


ごめんなさい、玲さん海さん。




だけど、ふたりを裏切るような真似をしてでも愛を守りたいと思ってしまった。


だから、ふたりを裏切った分愛を守るよ。


ずっと一緒に。




こう思うと、夜は長かった。


本当なら吸血鬼は夜こそ行動を活発にするのに、ふたりとも自室に閉じこもったままだ。




俺がそうさせてしまったんだ――……。








俺が早く洋館を出ようと思ったのは、そう思ったのもあるのかもしれない。


だけどそれよりも強かった想い。




あれ以上洋館にいたら、覚悟が鈍ってしまうと思ったから。




これ以上、ふたりに迷惑をかけてはいけないと思ったから……。


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