キミは許婚
忘れさせてくれたのは確かだけど……聖のおかげって言われると否定したくなる。
あたしが一人で思いを巡らせていると、ベッドの父がせき込みだした。
「お、お父さん! 大丈夫!?」
「あ、あぁ……っゴホ、ゴホゴホッ……」
せき込む度に揺れる背中を優しくさする。
「過労って聞いたけど……風邪?」
「いや、何でもないだろう。もう寝るさ」
「ごめん、あたし長く話し過ぎたね。あ! あたしがいなくなった後、仕事しちゃダメだからね!?」
ベッドの上で散らばっている書類をまとめてサイドテーブルへ置く。
父は観念したように笑いながら布団へもぐったので、あたしも部屋へ戻った。