キミは許婚


大人しく車へ乗り込むと、静かに走り出した。



「それでどうでしたか? 社長とのお食事は」


「どうにもこうにも……あ! そういえば待ち合わせ時間に5分遅れるの、やっぱり怒ってましたよ!」



到着し扉を開け、女将が去った瞬間、不機嫌そうな聖に部屋の中へ引っ張られたのを思い出した。



「私は社長が怒らない、なんて一言も言ってませんよね?」



バックミラー越しに柚野さんの笑み。


……確かに言ってませんでしたね。



「そ、それはそうですけど……」



でもベスト、なんて言い方してたのに!


まぁ……言いたくても言い返せませんけど。
< 277 / 533 >

この作品をシェア

pagetop