キミは許婚


「ほら……嫌いになる要素たくさんあるじゃん……」



呟いて涙が零れる。


ノートに落ちると、たくさん並んでいた字が滲んでいく。



これだけ嫌いな部分を知っていても、


聖と会う度にドキドキした心臓が


聖の低く響く声で囁かれた耳元が


強く抱き締められた背中が


甘く噛みつかれた首筋が


重ねた唇が……


あたしの全てが、聖を嫌いになれないと、否定する。




本当だね、哲太……


人を嫌いになるのって好きになることより難しいのかも……。
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