キミは許婚


病院に着くと、運転手の人がドアを開けてくれるのを待てなくて、あたしは車から飛び出した。


受付で父のいる場所を聞くと精密検査を受けていると言われ、検査室まで駆け足で向かった。



「お母さん!」



検査室まで行くとベンチに座って俯き、涙を拭っている母がいた。



「明……お父さんが……お父さんが……!」


「お母さん! 落ち着いて……だ、大丈夫だよ……きっと……」



取り乱してあたしに抱きつく母の背中をさすった。


大丈夫、なんて言ってみるけどあたしも不安でたまらない。
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