キミは許婚


聖に会えた喜びを伝えた瞬間、どこから湧き出てきたのか……涙が一筋、頬を伝った。



聖の顔をちゃんと見たいのに。


もっとよく見たいのに。


視界が滲んでよく見えないよ……。



今日はよく泣く日だ。


ていうか聖と出会ってからあたし……よく泣いてる気がする。



でもどの涙より……今日が一番の嬉し涙……。




聖があたしの頬に触れて、涙を優しく拭ってくれた。



その壊れ物を扱うような指先が愛おしくて、余計に涙が流れる。



「明……」



涙を優しく拭ってくれていた手が離れたかと思うと、聖の顔がゆっくりと近づいてきた。

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