キミは許婚


「明……?」



聖があたしの様子を窺う。


ダメだよ、聖を不安にさせちゃ。



「な、なんでもありません。気をつけて……帰ってくださいね」



あたしのアタフタした喋りに柚野さんは眼鏡の奥に見える茶色い瞳を細めた。



「……はい。言われなくとも」



そうだよね。


あたしに言われなくても安全運転で帰るよね……。



でもちょっと……思ったより柚野さんの笑顔が優しくて、


「聖に全て任せてしまえばいいんですよ」


と、背中を押してもらえた気がした。
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