キミは許婚
「なんだ、いないのか! じゃぁ……推薦にするぞ」
推薦、その言葉に静かだった教室が更に静まり返る。
あたしは気付いていた。
誰もが一言も発しない空間で、無数の視線が往来していることを。
……嫌な予感がした。
「この人が委員長だったらいいな、と思う人がいたら推薦してくれ」
しばらく誰も手を上げなかった。
様子を窺うように、呼吸を合わせるように。
皆が教室に張られたピアノ線をいつ切るか、タイミングを見計らっていた。