キミは許婚
「とにかく! 未来の妻なら旦那様の仕事くらい把握しておけ!」
「む……無茶言わないでください!」
今日会ったばかりなのに!
しかも好きになれそうにないのに把握なんてしたくもない!
「もうこの傷はいい。俺がどうにかしてやる。
あと注意がてらに言うが、今後は敬語禁止。そういうお嬢気取りは嫌いだ」
「お嬢気取りって……そんなつもりありません! そんな風に見られるのがイヤなくらいなのに……」
「お嬢様」、「お金持ち」。
大きな家に住んで、親が有名な会社の社長をしていれば、そういう目で見てくる人はたくさんいる。
その遠巻きな視線はいつも一人でいるあたしにとってとても痛い。
そんなことを気にせず寄って来てくれるのは小さい頃からお隣の哲太くらいだった。