水《短》
どれほど歩いただろうか。
気付けばもう、目的の場所まで来ていた。
見上げれば気高く、私を見下ろしている、山。
陽に照らされる緑が、その厚い門を開き、私を迎え入れてくれた。
柔らかな土にはる太い根を踏み、枯葉を踏みながら、山中を奥へ奥へと進む。
じっとりと、額に汗をかいていた。
それを手の甲で拭い、歯を食いしばりながらひたすら歩いた。
葉と葉の間、燦燦と照りつける太陽が、私の背を焼いた。
まるで、責め立てているようだ、と思った。
これからわが子を捨てる、私を。
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