―ユージェニクス―
「覚えてるのか…」
「なんとなくだけど…研究所に何されてたってのは大体。でも…」

一度言葉を切った。

「俺の意思ってのは無かった…俺が、俺のやってる事を…ぼんやり、と見てる感じ……」
拜早の目が虚ろになる。

「そうか…」

管原は手を伸ばし、くしゃりと拜早の白い頭を撫でた。


「すまなかったな……」

「……仕方ない、だろ……俺のやった事…ちゃんと生かしてくれよな、研究に………」



瞼が重くなった様に、そのまま拜早は再び眠りに就いた。


血の気の失せた顔色、おかげで目立つ青紫色の隈…

「おまえはあの日…黒川から送られて来たな…それから咲眞も……」

眠る拜早は、本当に幼い少年の様だ。

「おまえ達…黒川の所で何があった…?」

管原はただ複雑な顔で、拜早を暫く見つめていた。



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