テディベアは裏切らない
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私は人を殺した。彼女を、壊した。今生きている彼女と、私が出逢った時の彼女は、別人だ。あの時の彼女は、私が殺してしまった。
いま生きている彼女は、彼女が望んだ、彼女自身なのか……。親友だった私でさえも、わからない。でもきっと、違うんだ。少なくとも、彼女が『本当の自分』だと思っている彼女は、私が、殺してしまった。
そのことを彼は「気にしなくていい」と言って、彼女は「君のせいじゃない」と言ってくれた。
でも、私のせいじゃなく、そして私が気にしなければ、いったいだれが……いったいだれが、死んでしまった彼女を覚えているんだろう。本当の彼女の居場所はもう、あの時の彼女を知っている、私しかいないのに。
彼女は傷ついた。その傷を、だれよりも私が覚えていないといけない。だから私は、彼女と同じ傷を自分で負った。今までずっと、人に押しつけてきた善意を、自分にも押しつけるだけだから、わりと簡単な話だった。
彼女が彼女を見失ったのが、中学三年の夏。蝉がうるさく、入道雲が大きく、日差しが真っ白な季節だった。それは彼女と、ついでに私の、死んだ季節。
私は人を殺した。彼女を、壊した。今生きている彼女と、私が出逢った時の彼女は、別人だ。あの時の彼女は、私が殺してしまった。
いま生きている彼女は、彼女が望んだ、彼女自身なのか……。親友だった私でさえも、わからない。でもきっと、違うんだ。少なくとも、彼女が『本当の自分』だと思っている彼女は、私が、殺してしまった。
そのことを彼は「気にしなくていい」と言って、彼女は「君のせいじゃない」と言ってくれた。
でも、私のせいじゃなく、そして私が気にしなければ、いったいだれが……いったいだれが、死んでしまった彼女を覚えているんだろう。本当の彼女の居場所はもう、あの時の彼女を知っている、私しかいないのに。
彼女は傷ついた。その傷を、だれよりも私が覚えていないといけない。だから私は、彼女と同じ傷を自分で負った。今までずっと、人に押しつけてきた善意を、自分にも押しつけるだけだから、わりと簡単な話だった。
彼女が彼女を見失ったのが、中学三年の夏。蝉がうるさく、入道雲が大きく、日差しが真っ白な季節だった。それは彼女と、ついでに私の、死んだ季節。