テディベアは裏切らない
「私、これ、前からやってたんだ。でも、いったんはいろいろあってやめてた。これがどんだけ、自分以外も傷つけるかってこと知ったから」
「……」
「で。取り引きみたいな話になるんだけど……小百合、なんか抱えてるでしょ。話してよ。私も自分のこと見せたんだから」
そして話が、教室で切り出されたことに、ようやく戻った。でも、取り引きの内容はまるで小学生みたいだ。少し、私の中でレナちゃんの株が下がった。溜め息も出る。
「だれかに聞いたの?」
「別に。でも、隠したって私にはわかるよ。隠し事してる同士、なんとなくね」
「隠すって、なにを?」
「っ。だからさあ……っ」
レナちゃんが、苛立った。唸り声だった。
「そうやってしらばっくれるの、マジでやめてくれる? 信用されてない感じで、すごくヤ」
カッターをぷらぷら揺らしたまま言うのは、脅しのつもりなのかな。だとしても、それじゃあダメだよ、レナちゃん。レナちゃんから威圧こそ感じても、そのカッターで私をどうこうしようっていう狂気は感じない。アナタが傷つけられるのは、自分だけ。他人を傷つけられないから、アナタは、ほたるちゃんのために自傷を自重した。他人を傷つけられないレナちゃんに、その脅しは、できないでしょ。
「……」
「で。取り引きみたいな話になるんだけど……小百合、なんか抱えてるでしょ。話してよ。私も自分のこと見せたんだから」
そして話が、教室で切り出されたことに、ようやく戻った。でも、取り引きの内容はまるで小学生みたいだ。少し、私の中でレナちゃんの株が下がった。溜め息も出る。
「だれかに聞いたの?」
「別に。でも、隠したって私にはわかるよ。隠し事してる同士、なんとなくね」
「隠すって、なにを?」
「っ。だからさあ……っ」
レナちゃんが、苛立った。唸り声だった。
「そうやってしらばっくれるの、マジでやめてくれる? 信用されてない感じで、すごくヤ」
カッターをぷらぷら揺らしたまま言うのは、脅しのつもりなのかな。だとしても、それじゃあダメだよ、レナちゃん。レナちゃんから威圧こそ感じても、そのカッターで私をどうこうしようっていう狂気は感じない。アナタが傷つけられるのは、自分だけ。他人を傷つけられないから、アナタは、ほたるちゃんのために自傷を自重した。他人を傷つけられないレナちゃんに、その脅しは、できないでしょ。