テディベアは裏切らない
あれの意味は、わからない。

どうして真っ白なのか。

壮馬くんが、私のなにもかもをわからなかったから? 放置したから? その、完全敗北を自分で証明したもの? でも、それだったら彼は、そもそもテディベアすら作らなければいいんだ。

彼のテディベアにはすべて意味がある。色も、デザインも、表情も、衣装も。

私のテディベアは、真っ白で、表情はなく、服も着ていない。

テディベアの形をしただけの、ぬいぐるみ。

ただ、テディベアの形を、した、だけの……。

やっぱり、形にすらならなかったテディベアは、彼の敗北宣言だったのだろうか。

……ぼうっとしたいたら、また、水滴がみなもに落ちた。

眺めていた曇り戸の向こうに、輪郭のぼやけたお母さんが現れる。

「小百合、いつまで入ってるの? のぼせちゃうわよ?」

「うんー、もう出ますー」

親にも敬語を使うようになったのは、いつからだろう。もう、覚えていない。それは、意味があることだったのか、それともなにか重大な理由があったのか、いつの頃からか、ふとした瞬間の受け答えに、敬語を使うようになった。それは、友達にも。
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