テディベアは裏切らない
「やめてください、そんな……」

私は人のためになにもできなかった。私はアナタを傷つけたはず。それでなかったら今のもきっと、『善意の押しつけ』で引きずり出した言葉に決まってる。

「本当ですよ」

「うそ」

「ううん、本当。たしかに、言われた時はいろいろショックで、最近まで私もなにかを見失ってた。けど、今は全部をひっくるめて、よかったって思えるの。悩んでたことも、悩めたことも、全部、よかった。それもこれも、もとは、小百合ちゃんのおかげなんです」

「うそです……」

その笑顔をやめてください。

「本当だよ」

「うそです、……やめてください」

その笑顔を。

「ううん、本当に、小百合ちゃんに逢えて、よかった」

だからその笑顔を!

「やめてくださいって言ってますっ……!」

彼女を殺してしまった。その贖罪も見つからない。私は間違っていた。弁解はできない。するつもりもない。十字架を背負い続けなければ許されない。もとより、許されなくてもいいけれど。彼女が今どうしているかは知らない。だけど、自戒を続けていれば、続けていなければ彼女は、救われない。いえ、救われるかさえわからないけれど、私にはほかに、道がない。

高村まひるに感謝されるなんて、そんなことは……
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